京都ProMedの遠隔読影を支えるネットワーク技術

コラム

京都から遠く離れた病院で撮影された画像は、京都市内にあ
る読影センターで専門医により読影され、診断レポートを依頼元の病院に返します。そのプロセスは原則的に当日中にすべて行われ、まるで同じ病棟でやり取りをしているかのように、距離も時間のストレスも感じさせずに実現されています。
今回はそのプロセスを、読影センターと病院をつなぐネットワークを構築し、データセンターを含めてトータルな管理で支えるNTT西日本の担当者に話を聞きました。

 

|京都プロメドのシステムを担当されるようになった経緯をお聞かせください。

井戸さん:もともと京都プロメド様のシステムでは、病院とデータセンターとをつなぐ通信経路のネットワーク会社と通信機器を扱うベンダーが別々だったんです。そのため、事務処理や故障があったときの対応が煩雑になってしまっていたんですね。
そこで弊社にご相談いただき、「Bizひかり クラウド オールインワンネットワーク」(以下「オールインワン」)という商品をご提案しました。ネットワークの部分と通信機器の両方を、一元的に弊社で保守・運用・管理をするというサービスです。

朧谷さん:ネットワーク会社と通信機器のベンダーが別だと、通信ができなくなったときに「ネットワークのせいじゃない?」「通信機器の故障じゃないの?」というやりとりが発生するので、解決するのに時間がかかってしまうんです。
「オールインワン」では京都プロメド様の通信機器と病院様の通信機器との間をすべてお任せいただけます。そして、すべての窓口が一元化されたことで、なにか問題が発生した時に迅速にやり取りができるようになりました。京都プロメド様からも、そこがすごくやりやすくなったと評価いただいております。

 

田村さん:京都プロメド様にもシステムエンジニアの方はいらっしゃいますが、全国的にサービスを展開されているので、遠方でトラブルがあった場合はすぐに駆けつけられないんです。弊社であれば全国に拠点があり人の数も多く配置されておりますので、京都以外の地域でも迅速に対応できます。そこで、実際に旧ネットワークからの切り替えが始まったのが2013年4月で、当時契約されていた40〜50拠点ほどの病院様すべての切り替えが終了したのが2015年の4月です。
医療を取り扱う業務でしたので、各病院さまごとに切り替えに対するご理解も深めていただく説明もしながら、慎重に進めさせていただきました。

NTT西日本Bizひかりクラウド 公式サイトより画像引用

 

|通信に問題が発生した場合、対応にはどのくらい時間がかかるのでしょうか?

井戸さん:大体1日あれば駆けつけさせていただきます。営業時間中であれば、当日中の対応も可能ですね。
東日本地域では、弊社と同じNTTグループのPCコミュニケーションズと契約していただくのですが、こちらもほぼ変わらない時間で駆けつけることができ、地域に関わらず同じクオリティーで対応いたします。

 

|ネットワーク会社がNTT西日本に変わったことで、セキュリティも向上したのでしょうか?

朧谷さん:京都プロメド様では、絶対に漏れないようなガードで患者様の個人情報をお守りすることを急務とされていました。
以前、病院様とデータセンターをつないでいたのはインターネットVPNというネットワークの仕組みだったのですが、これは各病院様と京都プロメド様との間に、一般的なインターネットの世界を通るんです。すると、通信の内容を誰かに傍受されてしまう可能性がどうしても残ります。それを防ぐために暗号化の技術があったり、VPNっていうのはトンネルを通すようなイメージで、外から通信を邪魔されないようにもしているのですが、それでも一般のエリアを通ることには変わりありません。万が一情報を盗まれる可能性がないとは言い切れないんですね。
現在ご利用いただいているIP-VPNは閉域網といって、公衆の経路を通さずに専用の経路だけを通るため、まったく外に触れることがないんです。そのうえで暗号化もすることで、2重にも3重にも大幅にセキュリティが向上しています。

 

|データセンターも京都に移されたと聞きましたが?

井戸さん:はい。すべての病院様に「オールインワン」に切り替えていただいたところでデータセンターも弊社へ移行していただくことになり、2015年5月までにはすべて弊社で管理させていただいくようになりました。

 

朧谷さん:以前は大阪にデータセンターを置かれていたのですが、京都プロメド様は京都にあるので、何かあるたびにわざわざ足を運ぶという状況だったんです。そのため、京都に持ってくることで利便性が向上したかと思います。
やはり新たな仕組みをひとつ追加するにしても、事前の実験などで何回かはデータセンターに来ていただく必要があるんですね。それが大阪までとなるとやっぱり大変なので、立地は運用されるうえで非常に重要なことだと思います。

 

|「オールインワン」への切り替えからデータセンターの完全移行まで、2年以上かかっているんですね。

朧谷さん:京都プロメド様のお手伝いをするためには、内部でどのようなことをされているのかを詳細に把握する必要がありました。そこで定例会を開いて情報をいただき、こちらからも情報を整理してお話をしてきたんです。その過程で京都プロメド様の通信、ネットワーク構成について理解を深め、同時に京都プロメド様も今ではネットワークについて専門的なこと以外は完全に把握していただいています。お客様としても「ブラックボックス的な部分が解消されたことで、新しいアイデアについてもやりやくなった」とおっしゃっていただき、人と人とのコミュニケーションもとてもいい状態だと思ってます。
我々が課されたハードルをひとつひとつ乗り越えることで信頼関係を築くことができたので、やはりネットワークの切替え、移行にかけた2年間は必要な時間だったと感じています。

 

 

|病院からの反応は?

井戸さん:直接我々が言われたわけではないのですが、先生からよくおっしゃっていただけるのは「安心感がある」ということですね。

病院の方はそれほどネットワーク回りに詳しくない方が多いので、以前はネットワーク会社やベンダーをお伝えしてもピンと来ないことが多かったようなんです。おかげさまでNTTというと皆さん名前はよく知っていただいているので、京都プロメド様から「NTTから連絡させます」と言っていただければ病院の方も安心されるとのことでした。

幸いに京都プロメド様も我々を信頼してくださり、色々とお任せいただいているので、本当にいいビジネスパートナーです。

 

|信頼関係はどのように築かれたのでしょうか?

朧谷さん:最初の私たちからの提案を受け入れていただき、また2年をかけて旧ネットワークシステムから切替え、移行したプロセスでお互いの業務内容を中心に理解を深められたことが大きいと思います。そして何よりも、我々にとって京都プロメド様はただ商品を買っていただくだけのお客様ではありません。まるで京都プロメド様の常設のネットワーク部門として、何かあったときにはすぐに対応するという感覚で仕事をさせていただいています。そのような私たちの取り組み方も評価いただけているのではないでしょうか。